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平成22年1月、日刊広島が元広島市立安佐北高等学校長・中村道徳氏(現県議)のインタビュー記事掲載
[関連記事─日刊広島]

 学力テストは骨抜き、教員の免許更新は廃止の方向。新政権になって教育政策が大きく変容しつつある。広島県は過去、教職員組合の影響力による指導要領を逸脱した指導、授業が大問題となり平成十年、文部省から異例の是正指導を受けた。以降「公教育再生」を掲げてきた広島県だが、新政権の教育政策はどう影響するのか。また今後の公教育の在り方は。広島市立高校などの校長を経て、現在県議を務める中村道徳さんに聞いた。(文中敬称略、聞き手=倉林)

[県議会議員 中村道徳さん] 広島市立安佐北高校校長、文教女子大学付属高校校長を経て平成19年から現職。

 ─ 自民党は安倍政権時に改正教育基本法案を通 し、教育の改革を積極的に進めてきました。昨年政権交代しての民主党政権下、教育政策をどうみていますか。

 中村 これはねぇ、大変なことになるんじゃないかなと思いましたねぇ。国の文部行政の後退を感じる。児童生徒の学力は世界的にも随分下がってきている。それをようやくここまで持ってきた。ところがまた今、課題に対して正面 から対処していないように感じます。

 ─道徳の補助教材も廃止される方向のようですが。

 中村 心のノートですね(心のノート=全国の小中学生全員を対象に文科省が作成し無償配布している道徳教育の補助教材。民主党を支持する日教組は道徳教育について「内心の自由を侵す」などと反対の姿勢をとってきた)。小学校では二十三年からはじまる新しい学習指導要領(全面 改定)でも、心の教育である道徳を重視している。学校の先生が教えていくためのその柱、拠り所となる資料を取り上げることになる。経費削減か何か知りませんが。同じく二十三年からはじまる、英語(小学校五・六年)の副読本もです。
 広島市はこの英語を先取りして今年から始めます。先生の研修も済ませている、担任の先生が授業することになっています。他の自治体はどう対処するのか、県はどうするのか。副読本も作らなければいけない。市町の教委で作るのか、県が作るのか。国の文部行政が揺れ動く中、道徳教育とともに新たな課題として浮上しています。研修も必要ですが研修費も削減されています。いま、新たな教育内容への対応が求められているところです。

 ─子供の道徳観は変化していると思いますか。

 中村 変わってきましたね。それはモノが豊かになったことが大きな要因でしょう。公徳心とか奉仕の心とか、礼儀とか、物を大切にする気持ちとか(薄れている)。日本の道徳というのは明治学生発布以来、きちんと教えるべき事を教えてきた。昔は掛け図で教えていたんですね。それが戦後、そういう教育が出来なくなってきた。しかし根っこのところで大事なのは、人として人を大事にする、いじめない、みんなで支える。これは日本人として、いや人として生きる基本だと思う。物が豊かになり、自分だけよければいい、金があればいいなどという風潮になってきた。
 かつて東京と広島は高等師範学校を有し、伝統ある素晴らしい日本の教育を支えていた。その広島が十年前、こんなことになってしまった(文部省による是正指導)。
 いま一番大事なことはよい先生、力量のある先生を増やすことです。先生の仕事というのはね、さじ加減で子供が変わるわけですからね。先生によって勉強を一生懸命にやりだしたりもする。教室できちんと座って授業を受けられるかどうかも先生の力。その先生を指導していくのは校長であり行政。管理職、教育委員会のスタッフはまさに優れていなければいけない。広島県は随分良くなりました。

 ─是正指導前には校長の意向を現場が無視するような深刻な事態があったようですが。

 中村 県内、広島市でもありましたし、私も経験しました。また全国的にもありました。ただ、その頃は管理職と先生方が本気で、場合によっては地域も巻き込んで議論し、一生懸命にやっていました。国旗・国歌もやりましたよ。管理職は苦しんだけれども頑張っていた。いまは、管理職が簡単にトップダウンで進められるようになったが、それでいいのかな、と思う部分もあります。変な管理職が増えてパワハラが発生しているという報告もある。生徒も先生も「これだけやったら出来た、自分はやれるんだ」という自己肯定感を感じ、誇り、自信を持てるようになれば不祥事なんて起こらないんですが。

 ─私が中学生の当時は先生によく殴られていましたが、尊敬できる立派な先生でした。いまは体罰が絶対禁止なのはもちろん、厳しい指導はやりにくい。先生方が萎縮している部分はありませんか。

 中村 何か言えば保護者から責められる。モンスターペアレントね。ただしね、先生が生徒に情熱を注いだならば、生徒も親も絶対についてきますね。普通 の公務員と違うのはそこですよ。教育公務員というのは優れた教育愛と優れた指導力が必要。一般 の公務員は仕事の力量が優れていればいい。教育公務員は教育的情熱を持ち、子供にしっかりと自己肯定感を味わわせ、自分も誇りを持てるようになれば、保護者にもしっかり対応できる。それをフォローするのが行政の仕事。

 ─モンスターペアレントには現場の先生方も対処が難しいでしょう。

 中村 私の在任中もありましたよ。夏休み明けに金髪、茶髪で登校した生徒を家に帰した。すると四人の保護者が校長室に来られた。しかしそこは私の信念ですから。私が全責任を負う。学校に来ていただかなくても結構だと。まぁ、高等学校だからできたんでしょうけどね。いまは中学校でも、集団行動がとれない生徒は自宅待機させることが出来るようになりました。
 優れた管理職には信念、方針というのを持たせてやらないと、何でもかんでも教育委員会の言うとおりにやれ、というのではいけない。教育委員会は支える役目。
 私は、公立も私立のような運営、経営をやれば素晴らしく変わると思う。私学にはそれぞれ建学精神がある。独立法人制のような形をとれば、知恵がたくさん出ると思う。

 ─それは頑張らざるを得ないですね。

 中村 公立学校は教育委員会の方針を守らなければならない立場が一方ではある。その教育委員会制度も見直しが議論されている。現場にある程度の裁量 を与え、新しい教育をつくっていくことも考えなければならない。

 ─本当に優れた管理職が一定の裁量を与えられるならばおっしゃる通 り素晴らしいが、自由を与えれば、良からぬ分子の入り込む危険が教育界には常にありますね。

 中村 公立は特にそうですし、私にも経験があります。組合交渉を夜中の一時、二時までやったこともあります。私は基本的に、組合は教育内容の中身に対して介入すべきではないと思う。国旗・国家は教育内容の中身だが、それに介入してきた。道徳の時間が人権や同和教育の時間に勝手に変わっていたとかいうのもそれ。組合というのは労使の勤務の在り方、生存権や給与の問題を交渉するべきものだと思う。

子どもの権利条例

 中村 いま広島市では「子どもの権利に関する条例」制定が進められていますね。私は反対です。

 ─条例が出来れば、金髪の生徒を家に帰すことはできないでしょうね。

 中村 それはできないでしょうね。昨年二月に広島で開かれた日教組大会の資料を見て私は唖然としました。国語が「日本語」と表記されている。道徳教育については部会も何もない。そして人権教育の指針に「子供の権利条約」が挙げられ、これが各地で推進されている権利条例に繋がっている。

 ─子どもの権利条例が出来れば組合員である現場の先生方も困るのではありませんか。

 中村 困る先生もいらっしゃるでしょう。しかし、生徒が「この制服はいやだ」といえば「私もそう思うから校長に言いなさい」という先生も中にはいらっしゃるわけです。一番困るのは管理職でしょうね。民主政権になってこのあたりがどうなっていくのか。大きな懸念のひとつですね。  いまの教育課題は、先生方の志気をどう高めていくか、学校の経営体質をいかにしっかりさせるかが重要です。生徒については少子化の時代でもあり、汗をかくことも学ばせたい。私の育った当時は、土を耕したりということが授業の中でもありました。学力も必要ですが、汗を流し、困難に耐え、勤労意欲を持たせる教育が大事だと思いますよ。

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